漂えど、沈まず。

文化系税理士 佐藤 龍 のブログです

国税局、初の追徴課税 海外ゲーム業者 消費税申告漏れ?

「申告漏れ?」の記事です。ただでさえ複雑な税法である消費税法。海外取引、しかも「B to C」案件となれば、もろもろの判定は慎重に行わなければなりません。

 

スマホ向けゲームアプリ、海外配信業者に初の消費税課税
朝日新聞 12月5日)

 スマートフォン向けゲームアプリを配信する複数の海外業者に対し、東京国税局が消費税の申告漏れを指摘したことが、関係者への取材でわかった。日本の消費者にネット上のサービスを提供する海外業者に対し、消費税の追徴課税が明らかになるのは初めて。海外業者については取引の把握が難しいことから、国税庁は今後、効率的な調査手法などを検討する。

 国は2015年の税制改正で、「消費者向け」(B to C)のネットサービスを海外業者が日本国内の消費者に提供したとき、その対価に消費税を課税し、海外業者に申告納税させる仕組みを導入。国境をまたぐネットサービスの増加を受けた対応で、ゲームアプリの販売代金なども課税対象になった。日本国内のゲーム利用者が消費税分(8%)を上乗せして支払い、海外業者が日本の国税庁に申告納税する。

 ゲームを含めたスマホアプリは「プラットフォーム」と呼ばれる米グーグルや米アップルなどのサイトを通じて配信・課金されることが多い。消費者が支払った料金の一部は、手数料としてプラットフォーム事業者が差し引いている。

 関係者によると、東京国税局は今年に入ってこうした取引形態に着目し、実質的にはゲームアプリ配信会社と消費者の間の B to C取引と認定。売り上げ規模が大きい複数のゲームアプリ配信会社に、消費税の申告納税を求めた模様だ。このうちシンガポールの1社が約5億円の売り上げが無申告だったと認め、加算税などを含め約4300万円を追徴課税したという。 (花野雄太)

 これ、当然のことながら税務通信でも取り上げられています。

 

国税庁 平成29事務年度の法人税等の調査事績を公表
海外取引等に係る申告漏れ所得金額が前年比1.5倍増

税務通信 12/10号(3535)

調査事例
【事例8】 クロスボーダー消費税(BtoC取引)の申告漏れ(東京局)

クロスボーダー消費税に関して,国外事業者と消費者間の取引については国外事業者に消費税の申告納税義務が課される。そこで国内の売上ランキング上位のゲームアプリを開発・販売している国外事業者に関する情報の収集・分析をしたところ,プラットフォーム事業者を通じて日本のユーザーにアプリの配信を行うゲーム開発業者A(国外事業者)の消費税が無申告の事実を把握した。ゲーム開発業者Aに課税対象に該当することを指摘したところ,消費税の期限後申告書が提出された。

消費税(1年):

追徴税額(加算税込み)4,300万円

 

 

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さて、このシンガポールの配信業者って誰なのでしょうか? 記事中では具体的な名前が挙げられていませんが、通常、国内の法人であれば法人名や個人名は明かされます。名前が伏せられているのには何か理由があるのでしょうか。犯人探しをするわけではありませんが、これだけ、ひとつ気になったことです。

 

国際取引の消費税QA

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