漂えど、沈まず。

文化系税理士 佐藤 龍 のブログです

東北復興再生エネルギー社、太陽光の「売電権」譲渡益、脱税の疑い(朝日新聞 11/13から)

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「申告漏れ?」記事を見つけました。太陽光の売電権を譲渡した際に生じた譲渡益に関する話です。

 

太陽光の「売電権」利益隠した容疑 4300万円脱税か
朝日新聞 2018年11月13日 朝刊)

 太陽光発電事業の「売電権」を売却した際の所得を隠し、約4300万円を脱税したとして、東京国税局が「東北復興再生エネルギー」(東京都台東区)と同社の山本浩司代表(52)を法人税法違反容疑で東京地検に告発したことがわかった。

 関係者によると、同社は2013年設立で、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が始まった時期に、発電分を1キロワット時当たり40円で電力会社に買い取ってもらえる権利「売電権」福島県内で取得。買い取り価格が年々下がるなか、2016年夏ごろ、売電権を別の事業者に譲渡して約3億円の利益を上げたが、代金をペーパー会社の口座に入れるなどして17年2月期の税務申告をせず、約1億7600万円の所得を隠し、脱税したとされる。

 山本代表は取材に、「指摘に従い申告と納税をした。深く反省している」とコメントした。

 太陽光発電事業をめぐっては、各地の国税局が数年前から個人事業者を含め全国の約200社を税務調査し、総額約70億円の申告漏れを指摘している。事業者の利益が膨らみすぎるとして、国はFITの制度見直しを決めている。(花野雄太) 

太字部分は佐藤強調。

メディアの「脱税」報道、「申告漏れ」報道は、慎重に読まなければならない。「課税庁との見解の相違があった」というコメントは、不都合を隠そうとするコメントではなく、その言葉通り解釈の問題である場合があります。なので、申告漏れ記事は「脱税」と決めつけず、とりあえず判断を保留するため、「申告漏れ?」というカテゴリーに分類することにしました。そのことを書いたのがこの記事です。

 

その後、日産はゴーン会長問題で連日大きな騒ぎとなっていますが、それはさておきこの「売電権」脱税記事ですが……これはいけません。これは明らかに「脱税」ですよ。「代金をペーパー会社の口座に入れるなどして17年2月期の税務申告をせず」というところから明確な意図が読み取れますね。

2018年度の住宅用太陽光発電26円 /kWh、事業用なら18円 /kWh(+税)。この相場感覚からすると、40円 /kWhというのが破格であることがわかります。この取引、儲かるんでしょうね。200社を調査して70億円の申告漏れって、国税庁はちょっとした売電権バブルじゃないですか。太陽光発電事業を行っている方は、帳簿書類がきちんと整備されているか、事実関係を証明する書類をきちんと残しているか、いま一度確認されたらいかがでしょうか。

少し調べただけでも、こんな記事がヒットします。

 

 

不勉強でこの分野には明るくないので基本的な用語を確認しておくと、固定価格買取制度のFITとは「フィードイン・タリフ制度(Feed-in Tariff)」の頭文字のようです。

ついでにこの「東北復興再生エネルギー株式会社」を少しネットで見てみると、社長のブログは設立年の2013年以降の更新はないし、会社住所はH29年5月に福島県から記事通りの東京都台東区に異動があったものの、同年の11月には埼玉県川越市にさらに異動。川越市はわたしの出身地でもあります。

以上、備忘録として。

 

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