安倍総理が、体調不良を理由に辞任の意向を明らかにしました。
こうなると、手の平を返して安倍総理についてこれまでと異なる意見を言い始めたり、批判していた人が口をつぐみ始めることがあります。
辞任の発表の一日前の朝日新聞「経済気象台」から。
「第一線で活躍している経済人、学者」にしてはあまりにも素朴で率直な寄稿。
でも、わたしの印象もこの記事とほぼ同じです。
以後の歴史で、安倍政権はどう評価されるのでしょうか。
(経済気象台)ピンとこない歴代最長政権
(朝日新聞 2020年8月27日)
安倍晋三首相の連続在職日数が歴代最長となった。2位以下は佐藤栄作、吉田茂、小泉純一郎、中曽根康弘と続くが、いずれも大宰相で、彼らをしのぐ在職日数という偉業がどうにもピンとこない。官邸主導の歪みや長期政権の驕りが指摘される中、今回の記録達成をどう受けとめたらよいのだろうか。
最長政権の原動力は国政選挙6連勝であるという。ということは、いろいろ問題はあるにせよ、野党よりはましというのが民意なのだろう。だが、これだけ体質的、構造的な不祥事が露呈してもなお、政権交代は困るという民意だとすれば、民主党による政権交代に懲りてしまったからで、つくづく罪作りな前回の政権交代だったことになる。
一方、選挙で勝ったからといっても、ムードや風に流され、必ずしも民意を正しく反映していないことだってあるのかもしれない。あるいは民意自体が短期的利益にひかれて、我が国の持続可能な発展を志向したものとならなかった可能性もあろう。だが、そう言い出したら水掛け論に陥るし、選挙による間接民主主義の自己否定になりかねない。
今回の記録達成は、歴代の首相の中で、自らが率いる与党への国民の支持を最も集め続けた傑出した指導者であると、素直に褒めたたえるべきなのだろうか。私には何か違うという気がしてしまうのだが、頭をうまく整理できないでいる。
海外では米国、英国、中国、ロシア等々、大国はどこの指導者も困った人たちばかりで、それより我が国はずっとましだという気もしてくる。政治学者でも評論家でも、こんなモヤモヤした思いに明快な解説と指針をいただけないものだろうか。(遼)