漂えど、沈まず。

文化系税理士 佐藤 龍 のブログです

「内部留保課税の可否」と麻生太郎。

年末に部屋の大掃除をしていたら、メモしておこうと思っていた新聞のスクラップやらなんやらが膨大に出てきました。その後の時の経過により、不要なものを捨て、やはりメモしておこうと思ったものを引いておきます。

内部留保課税をめぐる話です。そうか、20017年の10月ですから、1年以上前にいったん盛り上がったことがありましたね。

 

朝日新聞 2017年10/26 経済気象台

内部留保課税の可否

 総選挙に際し、希望の党が消費増税凍結後の財源として「内部留保課税」に言及した結果、この主張に対して多様な批判があふれ、注目を集めた。しかし、この議論は麻生太郎財務相の持論に端を発すると見るのが妥当であろう。何年か前から折に触れ、麻生氏は「企業は内部留保を設備投資や賃上げに使うべきだ」と発言してきた。
 内部留保課税への批判もすでにステレオタイプ化しており、いわく利益金課税後の課税となり、二重課税である。いわく内部留保といってもそれは貸借対照表上の資本勘定の話であり、課税は無意味ではないか。総じて評判は悪い。
 しかしこれら批判は、論点がずれていると思うのは筆者だけであろうか。内部留保という言葉の定義が論者の間でずれている。このずれ方にも一定のステレオタイプがあって、問題視し、課税を論じる人は「現金・預金などの流動資産」、つまり資産項目を対象にしている。一方で、批判する人は「利益剰余金」という資本項目を対象にしているようだ。言葉は同じであっても、違うものを見て議論していては、かみ合いようがない。
 資本勘定上の利益剰余金の拡大、蓄積に伴う流動資産、特に現金および預金の蓄積は、非活用の資産蓄積であり、これが企業全般の傾向になるのであれば、経済成長にはマイナス要因となる可能性はある。したがってここに何らかの政策措置、例えば課税を考えるというのはあながち間違ってはいない。
 テクニカルには困難なことも事実だが、まずは同じ定義の下できちんと議論すべきである。そもそもかような状況で法人税減税が行われてきたこと自体が問われるべきことではないだろうか。(龍)

 

内部留保課税については、同じく朝日新聞の経済気象台の記事を引いたことがありました。

 

 

このときの記事の執筆者の署名は「山猫」。今回は「龍」。偶然でしょうが、動物つながりです。それとも何か関係あるのでしょうか。あ、言うまでもありませんが、わたしとも無関係ですよ。

さて、記事の内容に入りまして、内部留保課税。そうか、近年の議論に火をつけたのは麻生財務大臣だったんですか。おぼえておきます。

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スーツの着こなしは完璧!

さて、「戦後最長の景気回復」と報じられる一方で日経平均が急落したりと、なにやら危なっかしい経済状況。しかし、わたしの周囲を見回してみると、中小企業の皆様はまだ青息吐息ですが、上場している大企業は着実に体力を回復し、なかなか景気の良い印象を受けます。

そうなってくると、またこの内部留保課税の話が出てくるのは必至だと思います。今日の記事は、それに備えての備忘でした。

 

 

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