漂えど、沈まず。

文化系税理士 佐藤 龍 のブログです

日産、200億円申告漏れ 租税回避地の子会社所得巡り

税に関するいわゆる三面記事、特に申告漏れの記事は、実は定期的に掲載されています。先日はこんなものを見つけました。

 

 

日産、200億円申告漏れ 租税回避地の子会社所得巡り
朝日新聞 2018年11月8日 夕刊)
 タックスヘイブン租税回避地)にある子会社の税務処理をめぐり、日産自動車が東京国税局から2017年3月期に約200億円の申告漏れを指摘されたことがわかった。追徴課税(更正処分)は過少申告加算税を含め約50億円とみられる。同社は処分を不服として国税不服審判所に審査請求した。

 同社や関係者によると、同社が自動車ローンに関して支払う保険料の一部が、税負担の軽い英領バミューダ諸島にある子会社に入っていた。この子会社の所得について国税局は、日本で支払う税金を減らすのを防ぐ「タックスヘイブン対策税制」を適用。日産の所得と合算するべきだとして、申告漏れを指摘した。日産側は、子会社は関連会社以外との取引が多く、同税制の適用除外となる「非関連者基準」を満たしていると反論し、争っているという。

 日産は「当社の処理は適正だったと認識している。租税回避行為ではない」などとコメントした。

 同税制は1978年に導入された。ソフトバンクグループ(SBG)も、タックスヘイブンの子会社所得約747億円を合算対象とされるなどし、計約939億円の申告漏れを指摘されたことが4月に明らかになった。(花野雄太)

 この記事を読む限り、典型的なタックスヘイブン税制をめぐる争いのようですが、詳細がわからないので、まだなんともコメントできません。こういった「申告漏れ」の報道があると、つい「あの会社も脱税か!」なんて考えてしまいますが、その判断は微妙で、解釈の問題であることも少なくありません。

このことをふまえて、今後、このブログではこのような記事もどんどん取り扱っていこうと考えていますが、今回の日産のように申告漏れを指摘された段階の内容については、「申告漏れ?」のカテゴリーを使うことにしました。カテゴリータグの「申告漏れ?」の「?」は、間違いとか文字化けではありませんよ。

この日産の「申告漏れ?」事例、今後も追っていきたいと思います。

 

この事件と直接の関係があるわけではありませんが、読みたい本の備忘録を。ここにきて、超がつく重要な本の出版が相次いでいます。

 

租税法と民法

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