売上を「抜く」、意図的に所得漏れの申告を行って脱税を図るのはもちろんアウトですが、その逆の売上を「水増し」するのはなぜいけないのか?
その理由は、このような事件につながる可能性があるからです。
これ、取り調べなど、現在進行中の事件ですが…
まずは朝日新聞 5/9 夕刊。
次に、同 5/10 朝刊。
最後に 11日。
要は、2016年5-9月の売上を架空に計上したR社の決算書を用いて、銀行から1億円を詐取した、という事件。世の多くの経営者の願いは、「売上は多く、納税は少なく」なわけで、「売上は多く」の理由は、銀行から安定した運転資金を調達するためです。この事件はそのさらに上を行っていて、融資を受けた借入金、本当に返済する糸があったのか? はじめから破産手続きをとるつもりだったのではないか? というところが争点となると思われます。
「それまで滞納はなかったのに、同社が買収された後から、会社として負担する社会保険料などを滞納するようになり、さらに複数の融資が相次いで申請された」というところも疑いを強める点となったようです。
いまのところ、R社の元社長ら5人が逮捕されていますが、それは「詐欺容疑」とのこと。具体的な立件内容に注目したいと思います。
今回はもう一つ。
「青汁王子」の初公判がありました。
「青汁王子」脱税起訴内容認める 東京地裁で初公判
朝日新聞 5月10日
架空の広告宣伝費を計上するなどして計約1億8千万円を脱税したとして、法人税法違反などの罪に問われた健康食品販売会社「M」(東京都渋谷区)の社長、M被告(30)の初公判が10日、東京地裁であった。三崎被告は「検察官の指摘通りです」と述べ、起訴内容を認めた。
同社はインターネットで青汁を販売しており、M被告は「青汁王子」として民放のニュース番組などに出演していた。
起訴状によると、M被告は2015年9月期と17年9月期の各年度で計約5億1千万円の所得を隠し、法人税約1億4千万円を免れたほか、消費税約4千万円を免れたとされる。検察側は冒頭陳述で、脱税額の約9割を株や仮想通貨の購入、借金返済にあてていたと指摘した。
この事件、わたしはチェックできていませんでしたが、逮捕・起訴当時は話題になっていた事件のようですね。
当時は「広告宣伝費は正当な支払いだった」と容疑を否認し、自身のツイッターで国税局から連絡を受けたことを明かしたうえで、「20億円は税金を納めている。全部記録済み」「数十億円納税して、この仕打ちはやってられない」などと投稿していたですが…。地裁で決着がつきそうですね。
以上、方向は逆ですが、「架空計上」に関する2つの事件でした。