『近畿税理士会』第654号(平成30年10/10)から。
地方税に関する貴重な研究成果の発表
プロフェッショナルセミナー ~第3回 近畿税理士会研究討論会~
8月7日、エル・おおさかにおいて、プロフェッショナルセミナー「第3回近畿税理士会研究討論会・地方税を考える!~地方税の現場から見えてきたこと~」が開催された。
本セミナーは、通常の研修会とは趣向が異なり、基調溝演とパネルディスカッションという形式で実施された。また、本年10月12日に本会及び北陸会が担当なって金沢市で実施される日税連公開研究討論会に向けての研究成果を、本会会員に中間発表するという性格を持っており、「プレ公開研」とも呼べるものである。
地方税はともすれば「国税に付随するもの」という意識を持たれがちで、税理士の関心も高いとはいえない。しかし、地方税には地方自治を支える自主財源という重要な役割があり、応益原則、安定性原則、普遍性原則、負担分任原則など、地万税独自の考え方もある。
前半の基調講演では、まずこのような地方税の原則について説明があり、これら相互に異質な地方税原則を同時に達成していくには、個々の税目の性格を議論するよりは地方税公休として考えることが重要であると解説された。その後、各論として、住民税、事業税、固定資産税の論点が報告された。
後半は、調査研究部員及び専門委員8人によるパネルディスカッションが行われた。
①個人住民税均等割は人頭税の性格があり廃止すべきではないか ②法人住民税均等割りの性格と損金算入の是非 ③事業税の外形標準課税拡大の是非 ④固定資産税の複雑な計算体系(評点制度と負担調整措置)といった論点について、会場参加形式で聴講者にも賛否を求めつつ議論された。
普段なじみの薄い地方税について、考える機会を得ることができた貴重な研修会であった。
地方税は国税に比べて先行研究も少なく、担当部員及び専門委員は近畿全域の地方公共団体にアンケートを実施するなど、大変な努力を積み重ねて成果発表に至ったと聞く。
本稿が皆様の手元に届く頃には本番の公開研究討論会も開催されており、後日、日税連研修ホームページにも掲載される。会貝各位には、この記帳な研究成果をぜひご視聴いただきたい。
(取材・川口昌紀)
記事本文にあるように、税理士にとって地方税は「なじみの薄い」ものであり、苦手とする方も多い、とっていいでしょう。ただ、その理由は「国税に付随するもの」という意識や、地方税独自の考え方にあるのではなく、地方税が申告課税でなく、「賦課課税」によるところが大きいのではないでしょうか。税理士としては、申告する必要もないし、役所が計算するのだから、間違うことは少ないだろう……そう思って、毎日の業務ではどうしても優先順位が低くなり、研究する時間も少なくなる。実情はそんなところではないでしょうか。
印紙税と並び、重要でありながら、手薄になりがちな地方税、何らかの形でフォローしていきたいと思います。改めてそんなことを考えさせられた記事でした。