問題です。
6月からの「新」ふるさと納税制度、対象外とされるのはどこでしょう?
これ、最近わたしが周囲の人によくする質問です。
この新制度の筆頭、つまり総務省と真っ向から対立する泉佐野市の市長、千代松大耕(ちよまつ ひろやす)氏は「自分が言うべきと思ったことは言う」市長。
以前、このブログでも取り上げました。
この市長が、また国にご意見です。
朝日新聞 6月5日
今月から始まったふるさと納税の新制度で、総務省から対象外とされたのは違法だとして、大阪府泉佐野市の千代松大耕市長は4日、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に近く審査を申し出ると発表した。
ふるさと納税を巡っては、自治体間の過度な返礼品競争が問題化したため、規制する改正地方税法が3月に成立。総務省は先月14日、「返礼品は寄付額の3割以下の地場産品に限る」との通知を守らなかったとして、泉佐野市など4市町を新制度の対象外とした。4日の会見で千代松市長は「新制度に向けて法律に則して申請したにもかかわらず、法施行前の取り組みを理由に新制度から外すのは、法の遡及適用による不利益な取り扱いで、危険な権力の乱用だ」と述べた。
対象外とする総務省の通知から30日になる13日までに審査申し出をするとしている。国地方係争処理委員会は、国と地方自治体間でトラブルが起きた場合に、自治体の審査申し出によって、勧告を出す。また、勧告内容に不服があれば、自治体は高裁に提訴できる。泉佐野市によると、2018年度の寄付額は、前年度の約3.7バイとなる497億2,562万円(約250万件)に上ったという。 (川田惇史)
これまでの経緯から考えて、「なるほど」な千代松市長のアクションです。
わたしは、ふるさと納税はその功罪のそれぞれを強く認める立場です。自分のスタンスを決定することに迷っています。ただ、今回の総務省の方針は少し露骨すぎるなあ、と思っていたので、この千代松市長のアクションは納得できます。
今後の動向に注意していきます。
さて、視点を変えて、冒頭のクイズに戻りましょう。
よく、「4市町村が除外になった」とメディアで取り上げられますが、では、他の3市町村はわかりますか?
…………
正解は「静岡県小山町」、「和歌山県高野町」、「佐賀県みやき町」。
そうです、全部「町」なんです。「市」の条件は、地方自治法によると人口5万人以上なので、この3つは人口5万人未満。高槻市は約35万人なので、小さい自治体ですね。
ちなみに、わたしが社員税理士を務める島本町は人口約3万人。
調べてみると、実はこの3つの町はどれも島本町よりも小さい規模なんです。
そんな小さな自治体が、一気にこんなにメディアに注目される、というのは、よくも悪くもその自治体の戦略が成功した、といえるでしょう。
ただ、冒頭のクイズの答えは、実はこれでは不完全なんです。
点数をつけるとしたら、ちょうど80点。
もうひとつ、「除外」というよりも、「自主的に」対象外となったところがあるんです。
そう、東京都です。
(日本経済新聞 4月11日)
東京都の小池百合子知事は11日、6月に始まる「ふるさと納税」の新たな制度には参加しないと表明した。これまで都に入っていた税収が地方に吸い取られているとして「受益と負担という地方税の原則と大きく違っている」と批判した。全国の地方自治体で、自ら離脱するのは都だけだ。
総務省は10日まで自治体から参加希望の申請を受け付けていたが、都は申請を見送った。
ふるさと納税は好きな自治体に寄付すると、所得税と住んでいる自治体への住民税が減る。同制度をめぐっては寄付集めの高額返礼品が問題となり、6月からは返礼品は寄付額の3割以下に抑える新制度に移行する。現在はすべての自治体が対象だが、新制度は自治体が総務省に申請して指定を受ける必要がある。
6月以降は都に寄付してもふるさと納税として扱われず、同制度の税制優遇は受けられない。返礼品に力を入れていない都へのふるさと納税は年数件にとどまっており、離脱の影響は限定的だ。都民がほかの自治体に寄付した際には、これまで通り返礼品や税制優遇を受けることができる。
総務省は申請を受けた自治体の昨年11月以降の返礼品を調べ、問題ないと判断した自治体を5月に指定する。都内のすべての市区町村が申請したほか、高額返礼品が問題となった大阪府泉佐野市なども申請した。
小池百合子知事、川田市長と同じくらい情報戦略が巧みですね。というか、むしろイメージ戦略に関しては、小池知事の方が先輩というべきでしょう。
川田市長とは正反対の道ですが、小池知事のこのスタンスも理解できます。
ふるさと納税制度の動向は、まだまだ目が離せないのです。