漂えど、沈まず。

文化系税理士 佐藤 龍 のブログです

「NPO法人の会計と税務」(税理士 橋本俊也先生 『近畿税理士会』 第653号 平成30年9/10)

NPO法人の会計と税務についてのプロフェッショナルセミナー。いわゆる税理士研修です。顧問先にNPO法人もいらっしゃいますし、何よりわたし自身、NPO法人を運営している身です。ちょうど時間に余裕がある時期だったので、出席しました。

これは「近畿税理士会」に掲載された、そのときのレポートです。

 

NPO法人の会計と税務 (税理士 橋本俊也 氏)

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NPO法人まるごと理解が深まるセミナー
 7月25日大阪国際交流センターにて「NPO法人の会計と税務」というテーマで、税理士橋本俊也氏を講師にお招きしプロフェッショナルセミナーが開催された。NPO法人会計基準は2010年に公表されたが、時代の変化を受け昨年12月に改正が行われた。改正に関わった講師からの説明は、その改正の背景についても解説があって理解が深まった。
 まずNPO法人とその法人制度の概要について説明があり、続いてNPO法人会計基準の説明があった。特徴として ①発生主義を原則として複式簿記を前提としている ②財務諸表の体系を収支計算書から活動計算書へ変更している ③重要性の原則を幅広く駆使し、小規模法人への対応を最大限考慮している ④無償または筈しく低い価格での提供を会計に取り込んでいる ⑤ボランティアによる役務の提供を会計に取り込んでいる ⑥使途が制約された寄付金等の会計処理を定めている ⑦助成金補助金の会計処理を定めている ⑧経常費用の区分を明らかにしている等が挙げられる。
 昨年の改正の主な内容は、①クレジット寄付、クラウドファンディング等新たな寄付の方法に伴い、入金の確実性のあるものに関して、末収計上を原則としている ②役員の業務への支払いのうち、事業にかかる部分は事業費に計上され、ガバナンスにかかる部分は管理費に計上する ③「その他の事業」がある場合には活動計算書の前期繰越正味財産額及び、次期繰越正味財産額の表示を「その他の事業」と「特定非営利活勣に係る事業」とに表示するよう様式例も改正している等だが、改正された会計基準の適用時刻は各NPO法人の任意である。
 NPO法人の税務では、NPO法人法人税法公益法人等とみなされるので、収益事業を行う場合のみに法人税の申告が必要になること、更に政令で定める
収益事業34事業の説明があった。特に「①物品販売業」「⑥製造業」「⑩請負業」「29医療保健業」「30技芸教授業」は興味深かった。未経験者にも分かりやすく網羅的で体系的な研修であり、経験者にも理解の深まるセミナーであった。
  (取材・新居誠一郎)

 「未経験者にも分かりやすく網羅的で体系的な研修」、まさにそのとおりの研修でして、NPO法人を巡る初実務の経緯、概要について復習することができました。しかし、「経験者にも理解の深ま」ったのは一部だったかもしれません。NPO法人を巡る税務はまさに現在進行形であり、法整備・行政の対応が求められているところです。さまざまなひずみ・隙間が生まれてはパッチを当てている状況について、今回は一例だけ、国税庁の文書回答事例が挙げられました。こちらの方は少し物足りない内容でした。

次回は、NPO法人の税務について、橋本先生にもっと踏み込んだ内容のセミナーをしていただきたいと思います。特に、認定NPO法人についてとか。期待してます。

 

新版 税理士/公認会計士必携 NPO法人実務ハンドブック

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NPO法人会計基準[完全収録版 第3版]

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事例で学ぶ認定NPO法人の申請実務―改正NPO法による書類作成の手引き

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