漂えど、沈まず。

文化系税理士 佐藤 龍 のブログです

元気ですか。音楽の話を、少しだけ。

やあ。突然の連絡でごめん。

ずいぶんご無沙汰しててるけど、ふと、君のことを思い出しちゃって。

 

この前のバカリズムの『大人のたしなミズム』、テーマが『ジャズ』で、たしなみストが菊地成孔だったんだよね。Blue Note Tokyoに行け! とか、拍手(のタイミング)をたしなめ! とかのスノッブな内容だったんだけど(菊地さんはいつもの菊地さんだったけどね)、ぼーっと見てたら、君と一緒に行った一緒に行った西部講堂SPANK HAPPYDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN(当時はDCPRGでも、dCprGでも、DC/PRGでもなかった)とか、いろいろ思い出しちゃったんで、気づいたらこうして深夜にキーボードを打ってる感じだよ。ホント、ご無沙汰です。

MUSICAL FROM CHAOS2

MUSICAL FROM CHAOS2

 

 

京都から横浜に移ってどんな感じですか?

横浜なんて本当にうらやましいよ。なんといっても、SPECIAL OTHERSsuchmosの街じゃないか。

今年の初夏から夏にかけては、SPECIAL OTHERS を死ぬほど聴いたんだ。ポップなポリリズムにやられちゃって、かなりハマってました。特に『WINDOW』。これ、サイコーですね。深みがある、というよりも陽性の音楽だけど、フェンダーローズのエレピのひずみ方とか、音色面でのハーモニー(菊地氏的に言うなら「音韻」ではなく「音響」)が気持ちよい。

 

WINDOW

WINDOW

 

 

君はいつも新しいバンドを教えてくれた。20年前にcapsule を教えてくれたのは君だったし(その後の中田ヤスタカの躍進ぶりを考えると、すごい先見の明だ)、ジャズばかり聴いていて渋谷系をバカにしていたわたしに、改めて渋谷系の音楽的意義を教えてくれたのも君だった。全然君と話してないから、音楽に関してずいぶん保守的になってしまった。ここのところ、エリントンばかり聴いてる。もっとも、エリントンは保守かつ前衛だから、必ずしも後退しているわけではないんだけど。それに、エリントンを聴くことで、いまの音楽を新しく聴き直す観点を手に入れることもあるんだ。

 

CUTIE CINEMA REPLAY

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超LIFE(完全限定生産盤) [DVD]

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そうはいっても、J-POPも聴いてるよ。もう一昨年になるのか、宇多田ヒカルの『Fantome』はすごかったね。SPACE SHOWER TVで、若いミュージシャンがこのアルバムを聴いて率直な意見を語りあう番組があって、「詩と音楽が神話的なレベルに到達してる」といってたけど、まさにその通り。マニアックなもの、ひねくれたものを好むわたしだけど、これを聴いてからは一旦「王道」を追求すべし、と考えを改めた。

 

Fantôme

Fantôme

 

 

で、去年は星野源の『POP VIRUS』にやられました。特に1曲目の「POP VIRUS」がすごくてさ、車の中で1日中リピートで聴いてた日もあった。ってこれはちょっと病的かな。

この曲、音楽賛歌、クリエイターとしての音楽家の決意表明だよね。「刻む 一拍の永遠を」「渡す 一粒の永遠を」ってとこ、いつも聴くたびに涙が出そうになるよ。すごいこと言うなあ、星野源。「POP VIRUS」の後の「恋」は、これまでとまったく違って聞こえる。単なるヒット曲でなく、はかなさ、切なさが響いて聞こえるんだ。ああそうか、星野源はこの曲が「永遠を刻む」との自負があったのか。だから「POP VIRUS」「恋」の順番にしたんだね。……やっぱりすごいこと言うなあ、星野源

 

 

そうそう、きゃりーがカプセルの『恋ノ花』をカバーしたのには驚いた。capsule から中田ヤスタカを聴いている人間としては嬉しかったけど、聴くたびに複雑な心境になるんだ。きゃりーのキャリア(洒落ではない。事故です)や、いまの日本の状況など、カバーの時機的にはバッチリなんだけど、ボーカリストの資質から考えると、この曲はこしじまとしこさんの方が合ってるんじゃないかな、と。

 

恋ノ花

恋ノ花

 

 

……などなど、話したいことはたくさんあってキリがない。

今年は関東にちょくちょく行くつもりなんだ。そのときはワインでも飲みながらゆっくり話をしよう。嫌がられるくらいにはワインのうんちくも語れるようになりました。

40を超えてしまったいま、痛切に思うことは、単純な年数で考えると人生を折り返してしまったこと。老後の楽しみにとっておいた、万葉集唐詩選、ホメロスをじっくり読む時間は、たぶん、もう無いのだろう(下手すると、横山光輝三国志も読めないかも。あ、でもアドルノは絶対読むつもり)。

 

否定弁証法

否定弁証法

 

 

最近、時間に余裕ができたから、ちょくちょく旧友と会ってるんだ。ベースを弾いていたあいつは、ぼくたちの母校で教員をやってる。あいつが京都を出るときに渡したマーカス・ミラーの『Suddenly』のLP、いまも研究室にちゃんと飾ってくれてるかな。バイオリンの彼女も元気だった。

 

サドゥンリー

サドゥンリー

 

 

最後になるけど、最近ギターを始めた。管楽器でもよかったんだけど、家で練習できないし、和音が出る楽器をやってみたくって。オザケンのように歌ったり、ソロ・ギターでジャズっぽいことできたらなあ、なんて思ってるよ。……全然意識してなかったけど、もしかしたら以前君に「ギター弾けるんだっけ?」と聞かれたことが影響してるのかもしれない。だとしたら、まったくすごい呪い(祝福?)だな。20年越しで効力発動じゃないか。

キリがないからこの辺にしておこう。今年はぜひ会いたいな。

そのときは、「女にとっての中島みゆきが、男にとっての槇原敬之」だとか、細田守の話とかもしたいな。

そのときを楽しみにしています。

じゃ、お元気で。