――4部は「父と子」の物語だと思うんだ。
いや、ごめんごめん。いきなりこんなこと言っても、何のこと? って感じかもしれないね。ジョジョの話だよ。
まったく、第1部からリアルタイムで読んできた人間からすると、ここ数年の荒木飛呂彦人気には、「やっとわかったか!」としか言えないよね。われわれは30年前からその素晴らしさに気づいてましたが。
特に第3部はすごかった…。後にも先にも、次号が楽しみで毎週週刊誌を買い続けたのはあのときが初めて。承太郎vsDIO戦は、少年マンガ誌に残る名バトルだと思ってるよ。
ジョジョの奇妙な冒険part.3スターダストクルセイダース vs. DIO (SHUEISHA JUMP REMIX)
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で、特にリアルタイムでジョジョを読んでいた人間に多いんだけど、その第3部があまりにも素晴らしかったせいか、その後、第4部はあまり好きではない人も多い。実はわたしもそのクチで、高校は私服登校がふつうだったけど、わざわざ学ランで行こうと思ったほど承太郎に傾倒していた(というのが正しい表現なのかはわからないけど)わたしにとって、当時第4部は冗長と言うよりほかはなかった。
でも、それは偏見だったんだよ。
いまは、第4部を一番評価しています。一時期、ジョジョのフィギュアが「一番くじ」とかでアホみたいに生産されたよね。あのとき、クレイジー・ダイヤモンドだけはなんとか入手したよ。あと花京院。あ、仗助は手に入れてないなあ。これはなんとかしないと。
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うん? ああ、君は昔から第4部を評価してたよね。「スティーブン・キング的なモダンホラー要素の、身近にある恐怖がテーマだ」って。それはあるよね。当時、80年代のアメリカン・ポップに親しんでいた荒木先生は、第3部を書き終えたことで仕事に一区切り付き、改めて仙台という自分のルーツを見つめ直したのかもしれない。そのルーツ=日常と、スティーブン・キングが結びついたのかもしれないね。
あ、余談だけど、荒木先生って、なんだかんだいってアメリカとの結びつき強いよね。ルーブル美術館とのコラボとか、インタビュー、第5部のイメージが強いからヨーロッパっていう感じがするけど、アメリカなんだよなあ。ストーン・オーシャンもSBRもアメリカ横断の話だし。
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で、第4部はモダン・ホラー的なところよりも「父と子」の物語、ってところに感動したんだよね、ぼくは。
あ、その様子だとピンときたみたいだね。そうそう、その観点から考えると、第4部にはたくさんの「父と子」がでてくるでしょ。ジョセフ/仗助、東方良平/東方朋子、吉良吉廣/吉良吉影、川尻浩作/川尻早人(そうか! 仙台だけに、シンカリオンの「速杉ハヤト」はここから来ているのか! …ってそりゃないか。)、虹村父/虹村形兆・億泰(その後、形兆は億泰の「父」となる)、重ちーの家族、杉本鈴美の家族(アウトローとしての露伴)…これに気づいたとき、ぼくは鳥肌が立ったね。
少し脱線するけど、「父親」の問題は、当時の人気マンガの大きなテーマだよ。
正しくは「父親の不在」問題。ジョジョは言うに及ばず、『SLAM DUNK』に一話だけ唐突に挿入された桜木の父親が倒れたエピソード、『DRAGON BALL』の悟空の父親不在/父親失格問題など。『北斗の拳』なんて、そのまんま、「父親」がテーマの話でしょ。
ジョジョ第4部は、これら多様な「父/子」問題を提示しつつ、結論をおしつけていないところが素晴らしいと思う。例えばさ、思いつきなんだけど、虹村親子の話は、親が認知症となった場合として読めるんじゃないかな。バブル時代は羽振りがよくてブイブイ言わせてた親父。それがいまは認知症気味でコミニュケーションすら満足に取れない状態。父は涙して昔を懐かしむだけ。そう考えると、形兆のこの「こいつを殺した時に やっと 俺の人生が始まるんだッ!」という言葉は限りなく重いんです。…そんな家族、いまの日本ではよく目にする家族だよね。
そういった意味でも、第4部は一生楽しめる話だと思うよ。
そしてアニメ! これも素晴らしい!
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制作スタッフのジョジョ愛が溢れ出してます。
まずわたしが驚いたのは、音楽。
オープニングの「Crazy Noisy Bizzare Town」、サイコーじゃないですか。4部の内容がわかってなければ書けない歌詞ですよ。そして「Great Days」…。これはジョジョを超えて、MVとしt評価すべき作品ですよ。吉良の「Break Down! Break Down!」は観るたびにテンション上がります。エンディングのサヴェージ・ガーデンもいいよね。
TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』オープニングテーマ「Crazy Noisy Bizarre Town」
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そして「7月15日の出来事」として、エニグマの少年、乙雅三、鋼田一豊大が「7月15日」の話として同時進行。これこれ、これですよ。このアイデアにはシビレタなあ。
そうそう、阪急梅田で飲んでいたら、隣の席の若者のテーブルとジョジョの話で意気投合。そのまま合流しちゃったりもしたなあ。
…思いつくまま、第四部への愛情を垂れ流してしまった今回の記事。
実写については触れられませんでしたが、世間でいうほど酷くないですよ。何といっても三池崇史監督作品。しっかりと三池作品になってます。全然悪くないじゃないですか。オープニングのアンジェロのエピソードなんて本当にかっこいいですよ。
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「第一章」というクレジットに続編を期待してます。
ホント、悪くない映画ですよ。