漂えど、沈まず。

文化系税理士 佐藤 龍 のブログです

社会と関わるひとつのカタチ。寄附は単なる金銭の移動にあらず。

寄付、ドネーションは奥の深いテーマです。

年功序列、終身雇用に次いで、日本と欧米とで大きく思想が異なる論点だと思います。

短いコラムですが、興味深く読みました。

 

 

寄付という社会との接点
朝日新聞 経済気象台 2019年9月4日)

 尊敬する先輩の立ち上げた教育関連NPOの事業趣旨に賛同して、毎月千円の寄付をすることを決めた。ちょうど誕生月に会員になったところ、バースデー・ドネーションの案内も来た。プレゼントを考えている友人たちに、何か贈ってもらう代わりに寄付の案内をする仕組みという。こういう考え方は面白いと思った。

 寄付について考えさせられることが続いた。70代の先輩が終活の一環として、全財産を寄付する遺贈を考えており、安心して運営を任せられる団体を探していると言う。確実に目的に沿ってお金が使われるように、仲間を集めて基金を設立することも考えているそうだ。

 考えてみれば、日常のなかで寄付の機会はいろいろある。最近、ふるさと納税や出身校からの依頼に対して寄付をした。要らなくなった子どものランドセルをアフガニスタンの子どもに送るという団体があったのでお願いした。街頭であしなが育英会に少しだが募金をした。寄付金付き切手を買うこともある。

 寄付白書2017(日本ファンドレイジング協会)によると、2016年の1年間に日本人の45.4%が平均2万7,013円の金銭による寄付をしたという。何に寄付をするかは、自分が何を大切にしているかを表すのだろう。金額に関わらず善意は積み上がって大きな社会貢献となり、何を応援するかが個人の生き方にもつながるといえる。

 人生100年時代、年金だけでは足りないという議論も盛んで、十分な資産をどう形成していくかが大きな課題だが、同時にお金をどう使って、どんな形で社会とつながるかという設計も必要だろう。自分の信条に沿って寄付をするというのも一つの形ではないだろうか。(和)

 

日本ファンドレイジング協会、わたしも会員です。

冒頭では「日本と欧米」と書きましたが、イスラムの「喜捨」やヒンドゥーの寄付、アジア内での寄付文化の違いもあり、寄付を税務上、というか財政上どう考えるか、というのは難しいテーマです。あまり述べられませんが、平等/公平(正義)と並び、もっと論じられてもいいテーマなのではないでしょうか。

その意味で、少々食い足りなさはあるものの、このコラムは問題提起として意義があると思います。

でも、「2016年の1年間に日本人の45.4%が平均2万7,013円の金銭による寄付をしたという」のはどうなのでしょう。この「金銭による寄付」って、ふるさと納税も含まれていますよね。現状の日本では、税務上「寄付」というとふるさと納税がまず連想される、というのは物足りなさを感じます。

 

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あ、ちなみに税務上は、法人税法上も所得税法上も、擁護としては寄「付」ではなく寄「附」とされていますので、申告の際も「寄附金」や「寄附金控除」となります。

気になる方は、ご留意を。 

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