漂えど、沈まず。

文化系税理士 佐藤 龍 のブログです

高等学校における租税教室講師養成会議(『近畿税理士会』 第656号 平成30年12/10)

「租税教室」というものをご存知ですか。税理士が小中高の学校などで納税の必要性などを講義する授業です。

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今回の記事は、近畿税理士会が行う、そのための講師の養成講座のレポートです。

高等学校における租税教室講師養成会議
事前準備が大切

 10月9日、近畿税理士会館において「平成30年度・高等学校における租税教室講師養成会議」が開催された。この講師養成会議は、本会会員を始
め他会や国税局、税務署の租税教育関係者も参加するものであった。紙面の都合上、気になったことを二つ記載したい。

 第1に、講師を当部員が務めた高校生を対象としたモデル授業の実施である。授業の導入部分においては、講師がユーモアを交えて自己紹介をされた。誰もが共感できる内容だったので、会場の雰囲気が次第に講師へと引き込まれていく感じがした。
 展開部分においては、巌入や歳出の説明があった後、次のような模擬選挙のワークが行われた。
 ①3人の候補者が公約を説明する。 ②各受講者が3人の候補者のメリットとデメリットを年齢、性別や職業などの立場の違いで整理する。 ③各受講者がどの候補者に投票するかを考え、その決め手となった理由を整理する。 ④グループになり、受講者同士でどのように思ったかを討論する。 ⑤グループでどのような意見があったかをグループの代表者が発表し、受講者が互いに共有する。3人の候補者は、租税教室を行う税理士が担当しても良いし、また、学校の先生や生徒が担当しても良いとのことだ。さらに、このモデルキャストやシラバス等は本会のホームページからダウンロードできるので是非活用いただきたい。

 第2に、租税教室の講師経験者によるパネルディスカッションである。当部員がコーディネーターを務め、4人の会員がパネリストを務めた。事前準備のポイントは何かという問いには「学校のニーズに合わせる」「事前に、担当の先生にレジュメを確認してもらう」「機材の動作確認をする」「先生からアンケートを取る」という意見があった。また、授業を実施した感想はという問いには「事前に機材の動作確認をした。しかし、実施当日、パワーポイントが使えなかったが、使えないながらも授業をやり切った」「ムードメーカーを活用した」という意見があった。そして、これから授業を実施する会員へのアドバイスはという問いには「講師と生徒の間に壁を作らないようにする。そのためには失敗談を話して壁をなくす」「なぜ憲法納税の義務があるのかを考えさせる授裳をしてみてはどうだろうか」という意見があった。
 租税教室の研修等は秋に行われることが多い。気になる会員は、来年、是非とも本会議に参加していただきたいと感じた。
    (取材・原史明)

……なんというか、無難な内容ですね。 租税教室は高校に限らず、小学校、中学校でも行われており、それぞれで講義する内容は異なるはずです。

では、高校生を対象とする講義では、特にどのようなことを伝えるべきなのか、または伝えるべきとされていたが、それはその通りなのか、また、高校生ともなれば、社会の様々な機微に敏感な年頃であり、そこを考慮した内容にするとか、アルバイトをしている学生について、源泉所得税や年末調整、勤労所得控除という制度を紹介するとか……そういうことの必要性は議題に上がらなかったみたいですね。少なくとも、この記事からはそう読めます。

義務教育期間から、財務・会計・社会保険・税金については何らかの形で教育する必要がある。そう思って、わたしはNPO法人 F.A.S.T.エクスペリエンスを設立しました。租税推進教育とも交わる機会があると考えております。

今日のところは、このあたりで。

 

プレップ租税法 第3版 (プレップシリーズ)

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