昨日に引き続き、今日も『近畿税理士会』のTAINS記事の紹介です。
653号の次号、654号から。 TAINS、リニューアルしてずいぶん親しみやすいインターフェースになりました。フクロウのキャラもカワイくてグッドです。ちなみに、「TAINS」は「税理士情報ネットワークシステム(Tax Accountant Information Network System)」の略で、「タインズ」と読みます。わたしはずっと「テインズ」と読んでいまして、恥をかいたことがあります。
(『近畿税理士会』 第654号 平成30年 10/10)
今月のインフォメーションは、保険解約返戻金の経理処理について隠蔽・仮装があったと判断した非公開裁決をご紹介します。■TAINSメールニユースNo. 371 (2018. 8. 16発行)より
退職者を被保険者とするがん保険等の保険料
本件は、原処分庁が、請求人が損金の額に算入した支払保険料のうち、退職した従業員を被保険者とするがん保険契約等に係る支払保険料については、請求人の業務との関連性が認められないことから損金の額に算入できないとし、また、がん保険契約返戻金等を雑収入に計上せず、短期借入金とした経理処理は、隠蔽又は仮装の事実があるとして法人税等の更正処分等をした事案です。
審判所は、保険料については下記のように判断し、納税者の請求を認めましたが、解約返戻金の経理処理については、隠蔽仮装行為があったと判断しました。
本件各がん保険契約は、請求人と生命保険会社との間で、請求人の従業員の福利厚生を目的として治療費補助等制度に基づく見舞金等又は弔慰金の原資とするために締結したものである。そして、請求人は、本件各事業年度の途中にはがん規程を改訂し、従業員との間でがん規定並びに「入社された方へ」及び「退社された方へ」と題する各書面により、従業員が請求人を退職した後も5年間は、退職者ががんに罹患又はがんにより死亡した場合に、受取保険金を原資として退職者に見舞金等又は弔慰金を支払うことを約したものである。各がん保険契約等に係る退職者支払保険料は、請求人の業務との関連性を有し、業務の遂行上必要と認められることから、損金の額に算入することができる。≪検索方法≫ 検索窓に「F0-2-760」と全角文字で入力してください。
法人保険といえば、今年はニッセイのこれが話題になりました。
11/14付けの記事。この朝日の記事の「日生の発明」とは、死亡定期保険「プラチナフェニックス」のことです。これは強力な商品です。半額損金ではなく全額損金。他社も追随し、この商品の設計タイプは業界のヒットとなりました。
「ヒット商品 → ブーム → 他社追随 → 国税庁問題視」はもはや業界の風物詩。しかし、今回はさらに金融庁も動き始めました。
こちらは12/6。まあ、予測された事態です。やっぱり、このプラチナフェニックスはやりすぎなのでは。コロチキなら、「イッちゃってるね!」というところでしょう。
もっとも、この流れは前から予想されていたことでした。すでに10月にはこんな記事が。
10/22記事。「ブームの終わりの始まり」とはものものしい表現です。しかし、この商品が発売されたのは2017年4月。今年の6月には、すでに金融庁は目をつけていました。
どうなることでしょう。個人的には、法人契約保険は法人の節税対策としては定番ですが、どうしても一時的なキャッシュ・アウトフローが気になるところ。また、10年などの通年で考えると確かにトータルのキャッシュフローのマイナスはない(または若干プラス)ものの、その間、手元にキャッシュがない、という経営者の心理的負担を考えると、手放しでオススメできない面もあります。そんなわたしの想いも含め、今後の動向を見守っていきたいと思います。
そうそう、保険についてわたしがこう思うようになったのは、この本の影響が強いかもしれません。
新版はこちら。
生命保険の罠 保険の営業が自社の保険に入らない、これだけの理由 (講談社+α文庫)
- 作者: 後田亨
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/21
- メディア: 文庫
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自身、 日本生命の営業だった 後田氏のこの本、業界のウラも知ることができて勉強になりました。この本と松波竜太先生のあの本の影響により、わたしはキャッシュ・アウトフローな節税は若干後ろ向きな姿勢だったりします。
さて、手前味噌で失礼しますが、『近畿税理士会』同号(634号)では、水無瀬野の近畿税理士会への入会の案内も掲示されていました。
みなさま、今後ともよろしくお願いします。