漂えど、沈まず。

文化系税理士 佐藤 龍 のブログです

ドキュメンタリー、『ようこそ映画音響の世界へ』。 ー音響史と、「女性」映画技術史のフィルム。

ミニシアター系のドキュメンタリー。

これ、観たいなあ。

学生の頃なら、自転車に乗って気軽に行けたもんですが。。。

 

 

 

(評・映画)「ようこそ映画音響の世界へ」 ハリウッドの音、歴史と秘話

朝日新聞 8/28)

 映画の音響技術についてのドキュメンタリー。監督は、音響デザイナーのミッジ・コスティン。大学で教鞭をとる彼女の初監督作は、実に明晰で教育的な作品に仕上がった。
 映画の「音」には、話し声、環境音、音楽など様々な種類がある。静寂もまた音の一つだ。監督は、サイレント期から映画にとって音は常に重要な要素だったと定義し、技術者から監督まで大勢の映画人に取材を重ね、その歴史と役割を丁寧にまとめあげる。またかつては男性のものとされていた音響技術職での女性の躍進ぶりも伝えてくれる。

 中心となるのは1960年代後半に台頭したジョージ・ルーカスやフランシス・F・コッポラら新世代。なかでも映画編集者・音響デザイナーのウォルター・マーチの存在は大きい。彼らの世代が撮影所システムとは全く違う音を映画にもたらし、ハリウッドを新たな方向へ導いたのだ。

 「スター・ウォーズ」のチューバッカの声や「トップガン」の戦闘機のジェット音の制作秘話にも興奮するが、追究されるのはどんな音が創り出されたかにとどまらない。どの音を聞かせ、何を消し去るかも重要だ。「ナッシュビル」の音響はなぜ革命的だったか。「ゴッドファーザー」の殺害シーンで何が起きていたか。音をめぐる問いは、やがて映画とは何かを問う芸術論へ発展していく。

 これは、音響技術の進化をめぐる解説書であり、映画史の隠れた一面を掬(すく)いとる優れた教科書だ。ただしハリウッドという産業の歴史であるのを忘れてはいけない。他国の映画史に目を向ければ、また別の驚くべき物語が見つかるだろう。(月永理絵・映画ライター)

 ◇東京などで28日、順次各地で

 

うーん……実に興味深い!

サントラの延長のような感覚で、音楽についてのドキュメンタリーだろうか、なんて考えていたけど、射程は、もっと、もっと広く、まずは「音楽」というよりも「音」をテーマにしたドキュメンタリーである、「と。

さらに、社会で働く「女」のドキュメンタリーでもあるんですね。

「アクション映画はスタッフも男性だと思う人が多いが、性別を気にするなんてバカみたい。問題は経験」 

という、『ブレイブハート』(95)などを手掛けた効果音ミキサーのアンナ・ベルマーの言葉が上手くこのドキュメンタリーを物語っているような。 

その意味で、この映画は「音響」の映画史であるとともに、「映画技術の現場で働く女性」の映画史であるような。こうして考えをまとめてると、ますます観たくなってきました。

 

 

公式ページはこちら。

 

原題は『Making of Waves: The Art of Cinematic Sound』。

監督のミッジコスティンさんはこんな方。

知的な雰囲気が漂います。

 

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そして、こ朝日新聞の記事を執筆されたのも女性ライターの月永理絵さん。

 

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なんか、本当にどんどんこの映画が観たくなってきました。

高槻は無理でも、京都ならいずれ観れるか、と。

まあ、最悪DVDでもいいです。

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