昨日の荒木飛呂彦先生インタビューの続き。
というか、紙面上はこちらの方が先で、朝日新聞の土曜版、beの1面(!)です。
「GUCCI ✕ 荒木飛呂彦」イベント時の記事です。スキャンデータに、新聞の折り目が残ってしまったのが残念。でも、会場の雰囲気は伝わりますよね?
「人間賛歌」描いて四半世紀
漫画家 荒木飛呂彦さん(53歳(当時))(朝日新聞 2013年 9/14)
展示する原画や壁の色は、グッチ側が選んだ。ルネサンスと漫画の出会いを目にして、自然に背筋が伸びた。 ―イタリア・フィレンツェのグッチ・ショールーム
荘厳なフレスコ画の下、ピンクや緑の原色が躍る。なまめかしくきらびやかなイラストの数々は、古都に異空問を生み出した。
ルネサンス文化が花開いた街、イタリア・フィレンツェ。ここで今年6月、個展 「マンガ・エキシビション」が開かれた。会場は、主催した高級ブランド「グッチ」所有の洋館。創業時の工房だったという場所に、世界で累計8千万部を売り上げた代表作『ジョジョの奇妙な冒険』の原画、約60点が並んだ。
「絵を描く人間にとって、あこがれの街。ダビンチやミケランジェロが歩いていたかと思うだけで、胸がいっぱいなのに」。タキシードに身を包み、歓待を受けながら、唇をかみしめた。
この街で生まれたグッチとのコラボレーションは、2年前に始まった。日本に留学の経験があるパトリツィオ・ディ・マルコ社長が、その鮮やかな色彩に心打たれた。社長の発案を受けたクリエーティブ・ディレクターの手により、華麗なイラストが今年1月、世界70以上の店舗を彩った。
同社のチーフ・マーケティング・オフィサー、ロバート・トリュフス氏はこう評した。「グッチも漫画も、人の手が生み出すクラフトマンシップのたまもの。荒木さんの作品は、すべての文化とシンクロするアートだ」
* * *
イタリアは「作家性の原点」だ。初めて訪れたのは1988年末。当時の週刊少年ジャンプ編集長に連れられての取材旅行で、気が進まなかったという。「当時の関心はアメリカ。ニューヨークとか西海岸のポップな感じだった」
87年に連載が始まった『ジョジョ』は第2部に入っていたが、悩んでいたという。
「漫画家は一目見て分かる個性が重要。それが自分の絵にはない、と」だがイタリアには、迷える漫画家の目を開かせる要素が満載だった。ベルサーチ、ミッソーニ、モスキーノなどの鮮やかな色づかい、ゲイのアーティストたちの性別を超えた感性。フレスコ画の風合いにも圧倒された。そして、じかに見た彫刻群の持つねじれは「ジョジョ立ち」と呼ぱれる独特のポージングにそのまま生かされた。「イタリアで、心が決まった」
『ジョジョ』は、ジョースター家の血縁と因縁を描きながら、第1部から第8部まで、時代や舞台を様々に移してきた。掲載誌も、週刊少年ジャンプから月刊ウルトラジャンプに変わった。四半世紀を超えた連載のテーマは一貫して「人間賛歌」だ。
登場人物が使う超能力「スタンド」を、「人の中にあって断ち切ることのできないもの。それが、表面化して見えてくる」と説明する。自身も、変わらぬ容姿と感性から、ファンに「スタンド使い」と呼ばれる。
14世紀、ルネサンスの巨匠たちは絵画や彫刻で「人間らしい」ギリシャやローマの古代文化の復興を表現した。そして21世紀。この日本の漫画家は、自ら握るペンひとつで世界の読者を魅了する。
文・石田博士 写真・ルット・ミリアム・カルメリ
《プロフィル》
★1960年、仙台市生まれ。「子どもの 頃は、イカダを作って海に出ていた。海を見るとロマンが広がる」
★小学2年の頃、漫画を描き始める。雑誌を自作。「編集者のような批評をしてくれる友人がいた」。高校1年の頃から週刊少年ジャンプに投稿。同年代のゆでたまごが78年、高校生ながら「キン肉マン」で大ヒットしていた。「あせりを感じた」
★80年、週刊少年ジャンブ第20回手塚賞に「武装ポーカー」で準入選。83年「魔少年ビーティー」初連載。87年、週刊少年ジャンプで「ジョジョの奇妙な冒険」連載開始=写真は88年ごろ。
★2003年にパリで個展を開催。海外での評価については「実感ない」。
11年8月、ファッション誌「SPUR」に、ダッチ設立90周年と自らの執筆30周年を記念した「岸辺露伴グッチヘ行く」を執筆。グッチと初のコラボ。「漫画の熱さと違って、テーマがクール。最初は『そんなの描けるの?』と思った」
★12年7月に仙台、10月に東京で原画展を開催。 13年6月、イタリア・フィレンツエで個展開催。
このときの『SPUR』はこれ。「岸辺露伴 グッチへ行く」amazonでは プレミアがついて、4,900円で取引されてますね。
クリックの回数、おかしいです。
そのときの漫画は、その後大判で出版されました。
これ、同じ形でフランス語版も出てますが、うまくamazonのリンクができませんでした。
ちなみに、その後『SPUR』はもう一度荒木先生とコラボしてまして、そのときのジョジョキャラは徐倫(ジョリーン)。
「徐倫 GUCCIで飛ぶ」。 表紙のモデルさんもジョリーンです。
以上、2013年の荒木先生インタビューでした。
最後に、荒木先生関連の美術・ファッション 版されてまして、美術・アート関係のものだけをざっと拾ってみても以下の通り。『ユリイカ』は美術系じゃないって? まあいいじゃないですか。
ユリイカ2007年11月臨時増刊号 総特集=荒木飛呂彦 鋼鉄の魂は走りつづける
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