漂えど、沈まず。

文化系税理士 佐藤 龍 のブログです

平成31年度税制改正に向けて。(2)

税制改正の流れを追っていこうと考えていますが、更新を怠っておりました。

この段階ではまだ方針発表にとどまっていますが、大きな方向性がわかりますね。

10日ほど前の記事で、記者はおなじみの伊藤舞虹記者。

www.asahi.com

 

自民税調が始動  焦点は車・住宅減税
朝日新聞 2018年11月1日 朝刊)

 自民党税制調査会は31日、非公式の幹部会を開き、来年度の税制改正に向けた議論を始めた。来年10月の消費増税に伴う消費の落ち込みを避けるため、自動車や住宅の減税策が最大の焦点となる。会合では、来年度の税制改正の主な検討項目を議論した。11月21日に総会を開き、12月12日にも与党税制改正大綱をまとめることを確認した。
 消費増税対策の目玉となる自動車減税をめぐっては、自動車の購入時に燃費に応じて支払う「環境性能割」などの税金や毎年かかる自動車税をどの程度減税するかが焦点になる。自動車業界は一時的な対策ではなく、恒久的な減税を求めているが、地方自治体の税収減に直結するため、調整は難航が予想される。

 住宅ローン減税の拡充も検討する。所得税から控除する期間の延長などが軸になりそうだ。飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率の導入で目減りする税収1兆円の財源をどこで確保するかも詰める。法人税収を地方により多く配分する改正なども議論する予定だ。 
伊藤舞虹、豊岡亮)

同記事にまとめられていた、以下の改正検討項目の表がわかりやすいです。
 
【来年度の税制改正の主な検討項目】

消費増税対策
・自動車の購入や保有にかかる税負担の軽減
・住宅ローン減税の控除期間の延長
・軽減税率で目減りする1兆円分の財源確保
地方
ふるさと納税の高額返礼品を防ぐ対策
・都市部に集中する法人税収の地方への配分方法の見直し
子育て
・婚姻歴のないひとり親への寡婦控除の適用
・教育資金や結婚・子育て資金を一括贈与した場合の非課税措置の縮小・延長
企業
・企業の研究開発減税の見直し


あらためてこれらの項目を見ると、税制というものは大きく政策の影響を受けていることがわかります。消費増税対策なんて、ほとんどが業界間の交渉の話になりそうじゃないですか。
また、一般的な話題としては目を引くのは、「地方」項目の「ふるさと納税の高額返礼品を防ぐ対策」というところでしょうか。行き過ぎた返礼品競争は繰り返し報道されていましたが、「防ぐ対策」と言い切ってしまっているところに驚きました。これは総務省の「通知」ではおさまらない措置が考えられるのかもしれません。
個人的に注目したいのは、「子育て」の「婚姻歴のないひとり親への寡婦控除の適用」ですね。これは早期の導入を考えるべきテーマだと考えておりました。同様に話題にされるテーマとして、事実婚配偶者控除がありますが、この「ひとり親の寡婦控除」の方が先決。「貧困女子」として問題になっています。しかも、事実婚の場合と異なり、比較的事実認定も容易なのではないでしょうか。

以上、遅きに失するの感はありますが、税制改正レポートでした。