税に関して、新聞で少し興味深い記事を見つけたので引いておきます。
今日はまったく異なる内容で2件ありました。
「揚げ物税」で社員の健康増進 ヤフーが社食で実施
(朝日新聞 2019年10月8日)ヤフー本社の社員食堂では揚げ物に「税」というマークが付き、値上げされた。
ヤフー本社の社員食堂で「揚げ物税」として100円値上げされた「チキン南蛮」(手前)と、150円値下げされた「さばのみそ煮と具だくさんけんちん汁」
ヤフーは8日、本社の社員食堂で肉の揚げ物などのメニューを値上げし、焼き魚や煮魚を値下げした。「揚げ物税」と銘打った施策で、魚料理の摂取を増やし、社員の健康増進を支援する。ヤフーの社員食堂では毎日約1千人が昼食をとる。多く出るのはとんかつなど肉の揚げ物がほとんどで、焼き魚や煮魚は人気薄。脂質の取り過ぎが課題だったという。
2017年の健康診断では、社員のLDL(悪玉)コレステロールの有所見率が約45%と高く、対策が必要だと判断した。「揚げ物税」の導入でより多くの人に魚料理を食べてもらうことをめざす。
ログイン前の続き8日は「チキン南蛮」を100円値上げして691円に、「さばのみそ煮と具だくさんけんちん汁」を150円値下げして543円にした。ランチタイム終了時までにさばのみそ煮は375食で売り切れとなり、チキン南蛮の275食を大きく上回った。
価格変更前の4~5月は、さばのみそ煮が128食、チキン南蛮が480食で、数がほぼ逆転した。
ヤフーの広報担当者は「煮魚はこれまで200食すら超えたことがなかった。大きな効果がある」と話した。(栗林史子)
「タニタ食堂」的なヤフーのこの試み、とてもおもしろいと思います。
意思・嗜好の問題とされていたことに、制度・仕組を設けることで、消費者の方向付けをする。いわゆる「アーキテクチャ」による制約の例ですね。食生活の重要性は重々承知しております。なんとか節制に成功し、糖質少なめ、酒はほぼワインな生活で以前よりも健康的な生活を送れていると自負しております。
その意味で、これは興味深いなあ、と思います。試み自体にはまったく反論する気はありません。試みはいいと思うのですが…。
これ、値上げ幅は「税」じゃなくちゃいけなかったのでしょうか?
いや、わかりますよ、消費税の増税と合わせて、そうするのがイメージとして伝わりやすかったのでしょう。でも、この値上げ幅を「税」とするのは無理がありますよ。端的に言って、「権利」と「義務」が表裏一体である「税」という概念とはそぐわないと思います。
この「揚げ物税」を払った人とは、何か発言権というか、揚げ物メニューに対して使用する揚げ物油の改善を要求する権利が得られるのでしょうか。あるいは、値上げ幅による増収額が食堂運営にどのように使われたのかの開示を求める権利とか。税を納める、ということは同時に何らかの権利も手に入れるわけでして、もしも得られる権利がないならば、「税」という名称は不適切ではないか……など。
やっぱり、「税」は嫌われているんだなあ、多く金を支払うときは、とりあえず「税」と名前をつけておけばいい。そんな意識が透けて見えます。わかっているのですが、税理士として、少し残念に感じた記事でした。
ヤフー社内で、「わたしは高額納税者でして…」などという自己紹介や冗談が流行るのが目に浮かびます。
続々・体脂肪計タニタの社員食堂 ~減塩なのにおいしい500kcalまんぷく定食~
- 作者: タニタ
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2016/04/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
もうひとつは脱税案件です。
リフォーム会社 4300万円脱税疑い 大阪国税局が告発
所得の一部しか申告しない「つまみ申告」などで約4300万円を脱税したとして、大阪国税局が大阪市淀川区のリフォーム会社「N」と実質経営者のT社員(40)=大阪市北区=を法人税違反などの疑いで大阪地検に告発したことがわかった。重加算税などを含む追徴税額は約5700万円で、すでに大半を納付したという。
関係者によると、T社員は実質的に経営するネオライフと別のリフォーム会社(閉鎖)で、2014年2月~17年1月の約3年間、住宅のリフォーム工事やハウスクリーニングで得た会社の所得の一部を申告せず、約4300万円を脱税した疑いがある。客から現金で受け取った売上分だけを申告から除外するなどしていたという。
金は個人的な飲食代や接待費に使うなどしていたという。ネオライフの17年1月期の売上高は約5億円だった。
以上です。