入試問題の著作権問題……懐かしいテーマです。
わたしも一時、この問題に頭を悩ませた時期がありました。
といっても、わたしは予備校で予想問題を作る側でしたが。
(2020年4月10日)
今年もいくつかの大学で自分の著作物が入試問題に使われた。中学入試に使った学校もあり、別に小学生向けに書いたわけではないのに大丈夫かと、かえってこちらが心配してしまう。自分の文章に興味を持ってもらえたことにありがたさを感じる半面、それが合否を左右したかと思うと複雑な気分だ。
どこで使われたかわかるのは、著作物使用許諾の書類が後日送られてくるからだ。しかし多くの場合、送り主は受験生用の問題集の出版社で、学校自身ではない。理由は、入試問題への使用自体は著作権に触れないとされていて、あくまで入試問題の二次使用が著作権の対象だからだ。従って、学校がホームページ上で過去問として公開する場合などは合否判定以外の二次目的とみなされ、著作権料の支払いが必要になる。
著作権料は、数千円以下が普通だ。もっとも、1問ごとに高額を払っていては問題集を出版できないから、わからないではない。だが、そもそもの入学試験としての一時使用分が無償なのには、正直どこか釈然としない気持ちが残る。
合否判定という公的な目的のためなのだから、無償提供も理解できるが、一方でこれは、知的財産を本来擁護すべき立場にある教育機関が逆にそれを軽視することになりかねないと感じる。学校が結果的に受験料収入を得ているとすれば、やはり使用した著作物には何らかの対価を後から支払うのが筋ではあるまいか。
ネットを通じて拡散する海賊版の問題をはじめとして、知的財産権の保護が今後一層難しくなるのが懸念される。その意味でも、他者の知的財産を利用することに対してより敏感な風土が求められているときではなかろうか。 (海星)
強く同意できるところもあれば、首を傾げるところもあります。
「こういう考えもある」という意味で、引きました。